歯並びと8020運動の関係について
前回のブログでは、歯周病に伴うリスクをテーマにして、8020推進財団が報告した「永久歯の抜歯原因調査」の結果にも触れましたが、今回は歯並びと8020運動との関係について、中野区中野の横山歯科診療所が詳しく解説します。
そもそも8020運動とは?
8020運動とは、国や歯科医師会が掲げるスローガンで、80歳になっても20本以上の歯を残すことを目標としています。予防の考え方が広まるようになり、虫歯の発症率が低下するとともに、8020運動の達成者は増えてきましたが、現状ではまだ50%程度にとどまっています。これを欧米並みの高い数値まで引き上げるためには、歯並びにまで意識を広げる必要があります。
歯並びと8020運動との関係とは?
歯を失う主な原因である「歯周病」は、8020運動と直接的な関連がありますが、「歯並び」となるとあまりピンときませんよね。それは歯並びが口元の審美性を低下させるだけのものと捉えられがちだからです。実際は、歯並びが悪いことで、お口の健康にさまざまな悪影響が及びます。
歯磨きしにくく、汚れがたまりやすい
歯の位置や傾きに少しでも異常があると、歯磨きの難易度が著しく高くなります。とくにデコボコの歯並びである乱ぐい歯は、セルフケアだけでプラークフリーな状態を維持するのは不可能に近いです。汚れがたまり、歯垢・歯石が形成されると虫歯や歯周病にかかりやすくなり、最終的には歯を失います。
悪い噛み合わせが歯や歯茎に負担をかける
悪い歯並びには必ず噛み合わせの異常を伴います。正常な歯並びなら歯列全体に均等な力が加わるのに対し、悪い噛み合わせでは一部の歯や歯茎、顎の骨に大きな負担がかかることで歯の寿命を縮めたり、歯周組織の炎症を引き起こしたりするのです。これもまた歯を失うリスクを高め、8020運動の達成を妨げる要因ともなります。
食べ物がしっかり噛みにくい
歯並びに問題があるとある部分ではそこだけ強く当たり、それ以外の場所は歯が空いてしまって噛み合わないことが出てきます。こうなると前歯では噛み切れない、奥歯では食べたものを上手くすり潰せない、かみ砕けないなどのことが起きてきます。こうなると口の中で
食べ物を殆ど粉砕できずに飲み込むことになってきます。当然胃などの消化器に負担をかけることになっていきます。
口臭につながりやすい
歯並びの悪い部分は当然汚れも残り易いので時間が経つと口臭につながることもあります
人から指摘されたり、自分で気にして人前では口を開けて笑うのを躊躇ってしまうなど
精神的にもストレスを抱えることがあります。
お口の健康は健全な歯並びから
このように、悪い歯並びはいろいろな理由で歯の寿命を縮めることになるため、できるだけ早期に矯正で改善した方が良いと言えます。歯列矯正は比較的時間のかかる歯科治療となりますが、人生100年時代となった今、少し苦労してでも健全な歯並びを手に入れる価値はあるといえます。お口の健康は、健全な歯並び・噛み合わせから始まると言っても過言ではありません。